自己破産とは?免責の条件・手続きの流れと財産・仕事への影響

書類と電卓を置いた机の向こうに、裁判所と書類を読む人を描いたイラスト 債務整理・任意整理
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自己破産は、返済を続けられない個人が、裁判所を通じて財産と債務の清算を進める手続です。ただし、申立てや破産手続開始の決定だけで、借金の支払責任がなくなるわけではありません。対象となる借金の支払責任を免れるのは、原則として免責許可決定が確定したときです。

財産の一部を残せる仕組みがある一方、税金や養育費などは免責後も残ります。この記事では、利用を考える条件から、申立ての流れ、財産・仕事・生活への影響までを順に説明します。

自己破産を考える条件は、借金額より返済能力

破産法2条11項の「支払不能」は、支払能力がなく、期限が来た債務を全体として継続的に返済できない状態をいいます。個人の破産手続は、この状態にあるかを裁判所が審査して開始します。一時的に手元のお金が足りないだけの場合と、収入・財産を踏まえても返済を続けられない場合を分けて考えます。

「借金が何万円以上なら自己破産」という一律の最低額はありません。相談では、借入残高に加えて、毎月の収入、家賃・食費・医療費などの支出、財産、将来の収入見込みを伝えます。返済のための追加借入れは増やさず、現在の契約と家計を基に相談してください。

安定した収入から返済を続けられる見込みがある場合には、任意整理や個人再生も候補になります。残したい住宅や保証人への影響も伝え、自己破産との違いを弁護士に尋ねましょう。金額が大きい場合も、借金1,000万円の返済が難しいときの判断材料を使い、金額だけで方法を決めないことが出発点です。

破産の開始から免責確定までに何をするのか

資料を用意し、専門家に相談して裁判所へ向かう場面のイラスト

申立先は、原則として住所地を管轄する地方裁判所です。個人が自分の破産を申し立てると、反対の意思を示した場合を除き、免責許可も同時に申し立てたものと扱われます。それでも、財産を清算する手続と免責を判断する手続は別です。

段階裁判所などの対応本人が行うこと
相談・申立て準備弁護士が家計、債務、財産と手続の候補を検討債権者からの書類、通帳、収入資料を集め、借入れの経緯を説明
申立て・開始の判断裁判所が書類や説明を審査追加資料の提出期限を守り、裁判所や依頼先からの連絡に対応
財産・債務の調査管財事件では破産管財人が調査・換価・配当などを担当面談や出頭に応じ、取引履歴や財産について正確に説明
免責の審理裁判所が免責不許可事由や裁量免責の可否を判断追加の照会へ回答し、許可決定後も確定した時点を依頼先に尋ねる

申立てから終了までの期間は、資料の不足、財産の売却、調査の内容、裁判所の運用などで変わります。免責許可の書面が届いた日だけで「すべて終わった」と判断せず、決定の確定と残る支払いについて説明を受けてください。

最初の相談へ持っていく資料

  • 借入先の名称・残高・毎月の返済額が分かる明細。家族や知人からの借入れ、保証した債務も書き出す。
  • 給与・年金などの収入資料と家計の記録。収入が減った時期、病気や失業の事情もメモする。
  • すべての口座の通帳や取引履歴、保険証券、車や不動産の資料。ネット銀行も漏らさない。
  • 税金・養育費などの請求書、裁判所から届いた書類。封筒も保存し、受領日と提出期限を伝える。

住民票、債権者一覧表、財産目録などの提出書類は、申立先の最新書式と依頼先の案内に合わせます。手元に全部そろっていなくても、裁判所の書類や差押えがあるときは、その事実を予約時に伝えてください。相談の予約だけで裁判上の期限が延びるわけではありません。

同時廃止と管財事件は裁判所が判断する

同時廃止は、財産から手続費用を賄えないなどの事情により、開始と同時に破産手続を終える扱いです。管財人は選任されませんが、その後の免責の審理まで省かれるわけではありません。

管財事件では、裁判所が破産管財人を選任します。管財人は対象財産の管理・売却だけでなく、債務を負った経緯や免責に関する調査も行います。売却する財産が少なくても、財産や借入れの事情を調べるために管財事件になることがあります。

本人が費用の安い方を自由に選べる制度ではありません。依頼先には、同時廃止を見込む理由、管財事件に変わったときの費用、追加で集める資料を尋ねます。区分ごとの費用は自己破産の裁判所費用・弁護士費用も参照してください。

浪費やギャンブルがあっても相談を諦めない

破産法252条は、免責を許可しない理由となる事情を定めています。例えば、浪費やギャンブルによって財産を著しく減らしたり、過大な債務を負ったりした場合です。財産隠し、虚偽の債権者名簿、裁判所への虚偽説明なども該当し得ます。

一方、こうした事情があるだけで免責が必ず不許可になるわけではありません。裁判所が破産に至る経緯など一切の事情を考慮し、相当と認めて許可する裁量免責があります。認めるかどうかを決めるのは裁判所であり、「反省文を書けば通る」などの保証はありません。

相談時は、使った金額・時期・取引履歴と、支出が続いているかを伝えます。名義を家族に移す、財産を隠す、借金の相手を選んで申告するといった行動は避けてください。すでに処分や一部への返済をした場合も、記録を残し、相手・金額・理由を説明します。

以前に免責を受けた人は、前の決定書と確定日も持参します。前回の免責許可決定の確定日から7年以内の免責申立ては不許可事由の一つですが、この場合も裁量免責の判断は別にあります。相談前に自分で可否を断定しないでください。

免責後も残る支払いと保証人への影響

免責許可が確定しても、破産法253条が定める一部の債務は支払責任が残ります。借金とそれ以外の未払いを分け、残る支払いを含めた生活費を相談してください。

主な債務相談へ持参するもの・留意点
税金・罰金等納付書や督促状を持参。借入れの免責でこれらの納付義務までなくなるとは扱わない。
養育費・婚姻費用など調停調書、判決、合意書など。扶養や子の監護等に関する支払いが対象外となる。
一定の損害賠償悪意で加えた不法行為や、故意・重大な過失で人の生命・身体を害した不法行為など。すべての賠償が一律に対象外という意味ではない。
知りながら名簿から外した債権相手が破産手続開始を知っていた場合を除く。後から記載漏れに気づいたら、すぐ依頼先へ知らせる。

表は主な例で、このほか雇用した人の賃金なども法律上の対象外となり得ます。「払えない相手だけを外す」という進め方はできません。請求内容が争いになっている場合も、書類を示して債権者名簿への書き方を相談します。

また、本人の免責は、債権者が保証人や連帯債務者に請求する権利には影響しません。家族が保証人になっている借入れがあれば、本人の申立てだけで家族の責任までなくなるとは考えず、保証契約も依頼先へ見せてください。

財産はすべて失うわけではない

家や車の模型を前に、書類と封筒を見ている人

原則として破産手続開始時に本人が持つ財産が、管財人による管理・処分の対象となる「破産財団」に入ります。一方、法律上その対象から外れる財産などを自由財産と呼び、生活を続けるために残せる仕組みがあります。

  • 99万円以下の現金:民事執行法施行令の66万円に、破産法34条の1.5を掛けた額。預貯金とは扱いが異なる。
  • 差押えが禁止される生活用動産など:暮らしに欠かせない衣服、寝具、家具、台所用具など。高価な品まで一律に除外される意味ではない。
  • 開始後の労働で得る給与など:開始後に新たに得た財産は原則として対象外。ただし、開始前の原因に基づく将来の請求権は別に扱う。

「預金も保険も合計99万円までなら自動的に残せる」という一律の制度ではありません。預金、保険の解約返戻金、車、退職金の見込額などは、資料を基に個別の扱いを尋ねます。自由財産の範囲を広げる制度もありますが、生活状況や収入見込みなどを踏まえて裁判所が判断します。

現金化すれば有利になると考えて預金を引き出したり、車や不動産の名義を変えたりせず、実行前に依頼先へ相談してください。財産を残せるかどうかと、財産を申告するかどうかは別です。残せると思う財産も漏れなく伝えます。

仕事・転居・郵便物・信用情報への影響

資格制限は職種と期間を分けて調べる

自己破産で一律に働けなくなるわけではありません。ただし、特定の仕事には法律上の制限があります。例えば警備業法3条1号・14条では、破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない人は警備員になれず、事業者も警備業務に従事させられません。

免責許可決定の確定は、破産法255条の復権事由の一つです。相談の段階や申立書を出した時点と、開始決定後の制限期間を混同しないでください。現在の仕事内容・保有資格を伝え、休業や配置変更が生じるか、復権後の届出があるかを依頼先へ尋ねます。選挙権・被選挙権を失う制度ではありません。

管財事件の転居と郵便の扱い

管財事件の破産手続中は、裁判所の許可を得ずに転居することはできません。旅行など居住地を離れる予定も、予約前に依頼先や管財人へ伝え、許可の扱いを相談します。裁判所の嘱託で本人宛ての郵便物が管財人へ配達され、財産や債務の調査に使われることもあります。

同時廃止では管財人が選任されず、開始と同時に破産手続が終わるため、これら管財事件の制約と分けて考えます。ただし、免責の審理中も裁判所からの連絡を受け取れるようにし、住所変更の届出方法を尋ねてください。

信用情報は登録する機関・情報で期間が違う

全国銀行個人信用情報センターでは、官報に公告された破産手続開始決定が、その決定日から7年を超えない期間登録されます。CICは官報の自己破産情報を登録せず、免責の事実を登録元のクレジット会社等が把握したうえで、免責により契約が終了した日から5年間、その情報を保有すると案内しています。

これは登録期間の説明で、一定年数が過ぎればカードやローンの審査に通るという意味ではありません。審査は各社が行います。免責確定と信用情報の消去を同じ出来事と捉えず、生活費を新たな借入れに頼らない計画を立てましょう。

費用が不安でも、相談で内訳と援助制度を尋ねる

本人による破産手続開始申立ての収入印紙は1,000円、免責許可申立ては500円で、合わせて1,500円です。ただし、これが総費用ではありません。裁判所へ納める郵便料や予納金、弁護士へ依頼する場合の費用、証明書などの取得費が別にかかります。予納金は裁判所や事件の内容で異なり、管財事件では管財人に関する費用も生じます。

見積りでは、申立てまでに払う額、分割払いの条件、管財事件になった場合の追加額、報酬・実費・消費税の含まれる範囲を聞きます。収入・資産が一定基準以下の人は、法テラスの無料法律相談や弁護士等の費用立替を相談できます。

無料相談を受けられたことだけで、費用立替の利用が決まるわけではありません。立替には、資力、自己破産なら免責の見込み、民事法律扶助の趣旨などについて審査があります。立替金は原則として無利息の分割返済です。依頼前に、対象となる費用と自分で払う費用を聞いてください。

裁判所は手続の案内を行いますが、中立の立場なので、本人に最適な債務整理の方法を助言する窓口ではありません。法的な方針は弁護士へ相談します。資料や質問の準備は弁護士に借金の相談だけをするときの進め方を参照してください。

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相談だけで契約が決まるわけではありません。広告先への相談や依頼によって、免責、減額、その他の結果を保証するものではありません。説明を受けた内容に納得してから依頼を判断してください。

自己破産についてよくある質問

申立てたらすぐに借金の支払責任はなくなりますか?

申立てや開始決定の時点では免れません。免責許可決定の確定が基準で、税金や養育費などの例外もあります。個別の返済や請求への対応は、契約と手続の段階を示して依頼先へ相談してください。

借金が1,000万円なら自己破産しかありませんか?

金額だけでは決まりません。収入、生活費、財産、住宅ローン、今後も返済を続けられる見込みを伝え、任意整理・個人再生を含めて比べます。借金が少額でも、生活状況によって自己破産を検討する場合があります。

同時廃止なら財産や借入れの経緯を調べられませんか?

いいえ。裁判所は提出書類や説明を審査して手続を判断します。同時廃止になっても、免責の判断は別に行われます。預金・保険・借入先・支出の経緯は正確に伝えてください。

まず借入れと生活の資料を持って相談する

自己破産を選ぶ前に、期限の来た債務を継続して払えるか、免責後にも残る支払いは何か、財産と仕事にどんな影響があるかを見ます。借入れの経緯に不安があっても隠さず、書類とともに伝えてください。返済が行き詰まった直後の対応は、借金を返せないときの行動と避けたい対応にもまとめています。

参考にした法律・公的機関・公式情報

参照日:2026年10月6日。この記事は個別の申立てや免責の可否を判断するものではありません。財産、仕事、残る支払いへの影響は、資料を示して弁護士などへ相談してください。

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