借金返済に回せる金額は、毎月の手取り収入から、生活費、年払いなどの出費に備えるお金、急な出費の予備費を引いて試算します。その金額と、契約で決まっている毎月の支払額を比べてください。
「手取りの何割」と決めると、家賃や扶養する家族の人数による違いを見落とします。ここでは、手取り25万円の架空の家計を例に、年間の出費まで含めた記入方法を説明します。計算結果は家計の予算であり、借入可能額や契約上の支払額を変更するものではありません。
返済の予算と、契約で払う金額を別々に出す
最初に、次の2つの金額を分けます。
- 返済に使える予算:生活を維持する支出や積立分を引いた後に、家計から出せる金額。
- 約定返済額:契約で決められた期日に支払う金額。利息や手数料を含む当月の請求額を使います。
予算が月3万円だからといって、請求が月4万円の契約を自分の判断で3万円払いに変えることはできません。差額が出たら、支出の見直しで埋まるか、返済条件について相談する段階かを判断します。
家計は、収入と支出の両方を把握して予算を組むのが基本です。給与の額面ではなく手取りを使う考え方は、J-FLECの給与明細・家計管理の解説でも説明されています。以下の表と金額は、この考え方を借金返済の家計に当てはめた当サイト独自の記入例です。
給与明細と支払明細から、毎月の家計を記入する
直近3か月程度の給与明細、口座の入出金履歴、カード明細、現金払いのレシートを使います。支出が少なかった月だけを選ばず、通常の月と増えた月を見比べてください。自営業なら、売上をそのまま手取りとせず、事業経費や税金・社会保険料の見込額を分けて計算します。
収入は通常月に見込める手取りから始める
給与明細の差引支給額と実際の入金額を見て、家計に使える手取りを記入します。立替経費の精算など、自分が先に払ったお金の戻りは収入増として数えません。賞与や不確かな残業代は、毎月の返済を支える通常収入に含めず、別欄に置きます。
手取りに波がある人は、通常見込める月だけでなく、少ない月でも同じ式を計算します。例えば25万円の月だけを使わず、22万円の月の結果も出すと、不足が起きる幅が分かります。
生活費からは、借金返済をいったん分ける
次の例では、借金返済と年単位の積立を含めない生活費を18万5,000円とします。どの費目も目標額や全国平均ではありません。自分の支出に置き換えてください。
| 項目 | 例の金額 | 金額を拾う資料・書き方 |
|---|---|---|
| 家賃 | 70,000円 | 賃貸契約や口座の引落額 |
| 食費 | 40,000円 | 現金・カード・電子マネーを合計 |
| 水道光熱費 | 18,000円 | 請求額。冷暖房で増える季節も見る |
| 通信費 | 7,000円 | 携帯電話と固定回線。端末分割代は返済欄に分ける |
| 交通費 | 12,000円 | 通勤・通院など。勤務先の精算分と重ねない |
| 月払いの保険料 | 8,000円 | 月払い分だけを計上 |
| 教育・子ども関連費 | 15,000円 | 通常月の学校費や保育関連費など |
| 日用品・医療費・その他 | 15,000円 | 定期的な通院や日常の支出 |
| 生活費合計 | 185,000円 | 借金返済・年単位の積立・予備費を除く |
住宅ローンや車のローンがある場合は、後で作る約定返済額の合計に入れ、生活費の欄と二重に足さないでください。家賃は生活費、住宅ローンは返済欄というように、1つの支払いを1か所へ記入します。
給与から引かれた税金や社会保険料も、手取りを使った後で再度引くと二重計上になります。給与天引きではなく自分で払う分は、月払いなら生活費、年払い・期別払いなら次の積立表に入れます。
年払いの出費は月割りにし、支払日が近ければ補正する
年に1回の保険料や学校費を、その月の余りから払おうとすると返済用のお金が足りなくなることがあります。過去1年の明細と今後1年の予定から、毎月ではない支出を書き出します。
12か月かけて準備できる支出は、年間の見込額を12で割ります。この例では合計24万円なので、月2万円を取り分けます。
| 出費 | 1年分の見込額 | 月に取り分ける額 |
|---|---|---|
| 年払いの保険料 | 60,000円 | 5,000円 |
| 学校行事・教材の臨時費用 | 48,000円 | 4,000円 |
| 帰省・冠婚葬祭 | 60,000円 | 5,000円 |
| 住まいの更新・修繕などに備える分 | 72,000円 | 6,000円 |
| 合計 | 240,000円 | 20,000円 |
3か月後の6万円を、月5,000円では準備できない
支払日まで12か月ない場合は、年間額を12で割るだけでは間に合いません。「支払予定額から、その支払いのために既に取り分けた金額を引き、支払日までに積み立てられる回数で割る」と、その期限に間に合う月額が出ます。
例:3回積み立てた後に払う保険料6万円 − 既に取り分けた1万5,000円 = 残り4万5,000円。4万5,000円 ÷ 3回 = 月1万5,000円。
この場合は、表の保険料5,000円を1万5,000円に置き換えます。他の項目が同じなら、期限までの3か月間の積立合計は月3万円です。月2万円の合計に1万5,000円を丸ごと足すと、保険料を二重に数えてしまいます。
支払済みの費用を積立から出した月は、その支払額をさらに通常の生活費へ足さないようにします。積立の残高を減らして記録し、次回の支払日までに積み立てる計画へ切り替えてください。
手取り25万円の例では、返済予算は月3万5,000円
予備費は、上の表に見込んだ出費とは別に、急な通院など見積りを超えた支出へ備えるお金です。ここでは月1万円を残します。この額が全員に合うわけではなく、貯蓄の残高、通院や扶養の状況などに合わせて決めます。
生活費、積立、予備費を決めたら、次の式へ入れてください。表の右欄は、紙やメモに写して自分の金額を書ける記入欄です。
| 項目 | 架空例 | 自分の月額 |
|---|---|---|
| A 通常月の手取り収入 | 250,000円 | 円 |
| B 毎月の生活費 | 185,000円 | 円 |
| C 年単位の出費に備える積立 | 20,000円 | 円 |
| D 急な出費の予備費 | 10,000円 | 円 |
| E 返済に使える予算 | 35,000円 | 円 |
| F 全社の約定返済額 | 28,000円 | 円 |
| E−F 返済後に残る額 | 7,000円 | 円 |
この例では、25万円 − 18万5,000円 − 2万円 − 1万円 = 3万5,000円です。約定返済額が合計2万8,000円なら、差額は7,000円になります。この7,000円を追加返済へ回すかは、次の給料日までの残高を見てから決めます。
一方、先ほどの保険料を3か月で準備する場合は、Cが3万円になり、Eは2万5,000円です。約定返済額2万8,000円に対し、月3,000円足りません。年間では収まりそうに見える家計でも、支払期限が近いと不足することが分かります。
手取りが22万円の月に、B・C・Dが元の例と同額なら、返済予算は5,000円です。約定返済額との差は2万3,000円になるため、月25万円を前提にした返済予算をそのまま使うことはできません。
月の合計が黒字でも、支払日前の残高を見る
月の予算とは別に、今日から次の給料日までの入出金予定を日付順に並べます。支払いが先、給料が後なら、月全体では黒字でも途中で不足するためです。
下の例は、その違いを示すために一部の入出金だけを抜き出したものです。期首の4万円は、積立分や予備費を除いた、支払いに使える手元のお金とします。
| 日付 | 予定 | 入金・出金 | 差引後の見込残高 |
|---|---|---|---|
| 1日 | 繰越 | 40,000円 | 40,000円 |
| 10日 | 借金返済 | −28,000円 | 12,000円 |
| 20日 | 家賃 | −70,000円 | −58,000円 |
| 25日 | 給与 | +250,000円 | 192,000円 |
20日時点で5万8,000円不足します。マイナスは口座からその額を出金できるという意味ではなく、予定どおりには払えないことを示します。実際の表には食費、公共料金、カードの引落しなども全て入れてください。
期首の残高に積立や予備費を含めると、使えないお金まで数えてしまいます。また、カードで買った食費を生活費へ記入したうえで、カード引落額全体をもう一度生活費へ足すのも重複です。月の予算では買った品目に、日付別の表では実際の引落日に記録し、2つの表の合計同士は足しません。
約定返済額に足りないときは、金額と期限を伝える
返済予算が約定返済額を下回る場合は、通信・保険・定額サービスなどの契約と、支払日を動かせる出費を見直します。解約金や次回請求への反映時期も読み、来月からの節約分を今月使えるお金として数えないでください。食事や通院を無理に削った金額では、返済は続きません。
支払日に間に合わない見込みが出たら、借入先に「支払日」「請求額」「用意できる金額」「次の収入日」を伝えます。家計表を作っただけで請求額は変わりません。支払額や日付の変更について話し合った場合は、合意した内容を記録してください。
月々の不足が続く、または返済のために借りている場合は、日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)の多重債務ほっとラインへ借金と家計を相談できます。電話相談・カウンセリングは無料です。借入先ごとの明細と、この記事で記入した月額・日付別の表を用意すると、不足の理由を伝えやすくなります。
延滞前後の対応はカードローンを返済できないときの対処法で説明しています。完済までの期間を比べたい場合は、家計で使える月額を出してから、残高・金利・期間から計算する返済シミュレーションへ進んでください。
返済予算を決めるときによくある質問
ボーナスを毎月の予算に割り振ってよいですか?
未支給のボーナスが減ったり支給されなかったりすると、月々の支払いが続かなくなります。まず通常の手取りで計算し、支給された後に税金・年払いの出費などの使途を分け、残額を追加返済へ回せるか考えてください。
余った7,000円は、毎月全額を追加返済すべきですか?
例の7,000円は、設定した条件で残る計算上の金額です。次の給料日までの支払いと積立の不足がないかを見てから決めます。追加返済の方法や、次回の約定返済に充てられるかは契約ごとに違うため、契約先の案内を読んでください。
食費などの支出をまだ全部把握できていません
分かる支払いから記入し、不明な項目は「未集計」として残してください。0円を入れると、返済へ回せる額が実際より大きくなります。引落日が近い支払いについては、集計が終わるのを待たず、請求額と手元の残高を比べます。
生活費と支払期限を含めて、続けられる月額を出す
返済へ回せる額は、手取りから毎月の生活費を引くだけでは決まりません。年払いの出費を支払期限までに準備し、急な出費への予備費を残したうえで、約定返済額と比べます。
まず給与明細と直近の支払明細を開き、表のA〜Fを埋めてください。不足が出たら、その金額と日付を借入先や相談窓口へ伝えます。新しい借入で差額を埋める前提にせず、今の家計で続く支払い方を相談しましょう。
全社の約定返済額を集めるときは、借入先ごとの返済管理表を使い、残高と次回の請求額を分けて記録してください。
公式情報の参照日:2026年9月27日。表と計算は全て架空の記入例です。実際の契約の請求額・支払日を優先してください。
