裁判所から支払督促が届いたら、まず書類名、受け取った日、裁判所名と事件番号を控えてください。「仮執行宣言付」と書かれているかで、期限を過ぎたときの扱いと、差押えに進める段階が変わります。請求に心当たりがなくても、裁判所の書類は放置できません。
最初の支払督促は、送達から2週間を過ぎると仮執行宣言へ進む可能性があります。仮執行宣言付支払督促への異議は、その書類の送達から2週間が法律上の期限です。以下でこの違いと提出方法を説明します。期限が近い人は、記事を読み終えるのを待たず、書類を出した裁判所の担当係へ連絡してください。
最初に、書類の表題と「受け取った日」を読む
支払督促は、請求する側(債権者)の申立てを受け、裁判所書記官が金銭などの支払いを命じる手続です。発付時には、請求された側(債務者)の言い分は聴かれていません。届いた時点で、双方の証拠を調べて請求の正しさを判断した判決と同じではありません。
貸金業者や債権回収会社からの督促状と区別するため、封筒だけでなく同封物を開き、次の項目を書き出します。
- 表題が「支払督促」か「仮執行宣言付支払督促」か。「記録事項証明書」と記載された書面もある
- 裁判所名、担当係、事件番号
- 自分や家族が書類を受け取った日と、受け取った人
- 「請求の趣旨」にある金額と、「請求の原因」にある契約・支払いの説明
- 同封の異議申立書、提出先、提出方法の案内
「送達」は、法律で定めた方法で裁判所の書類を届けることです。期限の基準は送達日であり、自分が開封した日とは限りません。同居の家族などへの交付で送達が成立する場合もあります。受取日が曖昧なら、事件番号を伝え、裁判所に記録された送達日を尋ねてください。
裁判所名に見覚えがない、電話番号が不自然と感じる場合は、裁判所の公式所在地・電話番号一覧から連絡先を探します。電話では「この事件番号の支払督促が届いた」と伝えます。架空請求かどうかの判断と、裁判所で事件が進んでいるかどうかの照会を分けましょう。
2週間の意味は、仮執行宣言の前と後で違う

仮執行宣言とは、支払督促を基に強制執行を申し立てられるようにする宣言です。強制執行には、給料や預金などを差し押さえて回収する手続があります。手元の書類を次の表に当てはめてください。
| 手元の書類 | 2週間の意味 | 今とる行動 |
|---|---|---|
| 最初の支払督促 | 送達から2週間以内に異議がなければ、債権者が仮執行宣言を申し立てられる。異議を出せるのは仮執行宣言が付されるまで | 2週間以内の提出を目指す。すでに過ぎていても諦めず、仮執行宣言が付いたか担当係へ尋ねる |
| 仮執行宣言付支払督促 | この書類の送達から2週間が異議申立ての期限。法律で定められ、裁判所が自由に延ばせない「不変期間」 | 異議の提出とともに、強制執行を止める手続が取れるか専門家へ急いで相談する |
最初の2週間を過ぎたからといって、その瞬間に異議を出せなくなるわけではありません。ただし、仮執行宣言がいつ付されるかを待つことは避けてください。債権者が仮執行宣言を申し立てられる期間は、申立てが可能になった時から30日以内です。この30日は、債務者が対応を先延ばしにできる期間ではありません。
根拠:裁判所「支払督促を受けた場合」「仮執行宣言付支払督促を受けた場合」、民事訴訟法390〜393条
送達日の翌日から数え、郵送の配達日数も見込む
通常の数え方では、送達された当日を含めず、翌日から2週間を数えます。途中の土日・祝日も日数に含めます。末日が土日・祝日や12月29日〜1月3日に当たるときは、期間はその翌日へ延び、休日が続けば次の平日まで延びます。
日付の数え方の例:2026年10月5日(月)に仮執行宣言付支払督促の送達を受けた場合、10月6日(火)から数え、2週間の末日は10月19日(月)です。この例の末日は休日ではありません。裁判所へ持参するなら受付時間、郵送なら到着までの日数も見込んで提出します。
郵送では、期限内に裁判所へ届くように手配します。期限日に投函しただけで間に合ったと考えないでください。残りの日数が少ない場合は、担当係へ受取日を伝え、持参を含めた提出方法を尋ねましょう。
電子送達や、自分以外の人が受け取ったケースでは、画面を開いた日・自分に渡された日をそのまま起点にしないでください。記録上の送達日と末日を担当係に照会します。相談の予約や債権者との電話だけでは、この期間は延びません。
期間計算の根拠:民事訴訟法95条・106条、民法140〜143条
異議申立書は、支払督促を出した簡易裁判所へ提出する
請求に不服があるときは、債権者へ電話するだけでなく、裁判所に督促異議を申し立てます。提出先は、支払督促を発した裁判所書記官が所属する簡易裁判所です。自宅に一番近い裁判所へ送るとは限りません。
- 同封の異議申立書と案内を読む。見当たらないときは、事件番号を伝えて担当係から書式と記入方法の案内を受ける。
- 裁判所名・事件番号・当事者名を写す。異議を申し立てる旨と対象を、書式の欄に沿って記載する。連絡先などの記入漏れがないか、各欄を順に読む。
- 提出前にコピーやデータを残す。郵送または持参など、事件に合う方法で裁判所へ提出する。相手方に送っただけで済ませない。
- 提出した記録と、その後の裁判所の案内を保管する。郵送の追跡情報や電子提出の受付情報を残し、到着が不明なら担当係に問い合わせる。
2026年5月21日以降に申し立てられた支払督促では、裁判所の電子提出システムmints(ミンツ)を使って異議申立書を提出する方法もあります。基準は、書類を受け取った日ではなく、支払督促が申し立てられた日です。古い事件の用紙を流用せず、同封案内と担当係の説明に沿って提出方法を選んでください。通常のメールを送ることとは別です。
裁判所は手続や書式を案内する窓口です。「請求を認めるべきか」「時効を主張できるか」「どの支払い方で合意するか」といった個別の判断は、書類と返済記録を弁護士等に示して相談します。詳しい反論資料がまだ全部そろっていなくても、それを理由に提出時期の相談を遅らせないでください。
提出方法:裁判所の督促異議の案内、支払督促で使う書式。新旧事件の書式は東京簡易裁判所の案内にも区分があります。
異議を出した後は訴訟へ移り、返済や差押えが自動で止まるわけではない
適法な督促異議が出されると、異議の対象となった請求は、請求額などに応じて簡易裁判所または地方裁判所の通常の訴訟に移ります。異議を出しただけで、借金がなくなったり、分割払いが決まったりするわけではありません。
裁判所から次の書類が届いたら、答弁書の提出期限と裁判の期日を読みます。答弁書は、相手の請求に対する自分の言い分を伝える書面です。支払済みなら振込明細、金額が違うなら契約書や取引履歴など、主張を裏付ける資料を用意します。期日に対応できない事情があれば、放置せず担当係に連絡してください。
仮執行宣言後は、異議とは別に執行停止を相談する
仮執行宣言付支払督促が送達されると、債権者は確定を待たずに強制執行を申し立てられます。督促異議を出しただけでは、強制執行は止まりません。止めるための申立てを別に行い、裁判所の判断を受ける手続があります。
執行停止の可否や担保の扱いは、請求を争う理由や損害などによって変わります。仮執行宣言付の書類、差押えに関する書類、送達日をまとめて弁護士へ見せ、「異議と執行停止の両方を相談したい」と伝えてください。制度の説明だけから、差押えを止められると見込まないようにします。
具体的にどの財産が対象となり、どの書類が届くかは、給料や預金の差押えと届いた書類への対処でも説明しています。
根拠:裁判所の仮執行宣言付支払督促に関するQ&A、民事訴訟法395条・403条
2週間を過ぎたら、書類の段階と送達日をその日のうちに伝える
期限が過ぎたと思っても、書類を捨てたり、次の通知が来るまで待ったりしないでください。最初の支払督促か、仮執行宣言付かを伝えると、相談先が調べる点を絞れます。
| 現在の状態 | 裁判所・専門家へ伝えること | 検討する対応 |
|---|---|---|
| 最初の支払督促から2週間以上たった | 最初の送達日、その後に届いた書類、事件番号 | 仮執行宣言がまだ付いていなければ、その前の異議を申し立てられる。進行状況を担当係へ尋ねる |
| 仮執行宣言付の送達から2週間以内 | 仮執行宣言付の送達日、請求を争う理由、差押えの有無 | 異議の期限を逃さず対応し、執行停止も相談する |
| 仮執行宣言付の2週間も過ぎた | 送達を受けた人・日付、対応できなかった事情とその資料 | 通常は督促異議を出せない。例外的な手続や別の対応を弁護士へ相談する |
仮執行宣言付支払督促に異議がないまま期間が過ぎると、支払督促は確定判決と同一の効力を持ちます。ただし、送達の状況や、期間を守れなかった事情の評価は個別に調べることになります。
自分の責任とはいえない事情で不変期間を守れなかった場合には、後から手続を行う「訴訟行為の追完」という制度があります。国内にいる当事者は、その事情がなくなった後1週間以内という期限があります。単に忙しかった、期限を知らなかったというだけで使えると考えず、出来事の日付と裏付け資料を弁護士へ示してください。認められるかは裁判所が判断します。
請求内容と払える金額を分けて相談する

請求が正しいかという問題と、一括で払えるかという問題は別です。相談では、次の2種類の資料を示してください。全部そろわないときも、書類の期限を先に伝えます。
- 請求を調べる資料:支払督促一式と封筒、契約書、利用明細、振込・引落しの記録、債権者とのやり取り
- 今後の支払いを考える資料:手取り収入、家賃・食費・光熱費など、ほかの借入先の残高・返済日・月額
請求額に争いはないものの一括では払えない場合は、毎月いくらなら生活費を残して払えるかを伝え、分割払いなどの話合いができるか相談します。異議申立書に希望を書いただけで、相手が同意したことにはなりません。交渉中も裁判所の期限への対応は続けます。
生活費を払うと返済に回すお金が残らないなら、追加借入で埋める前に、返済方法そのものを相談してください。借金を返せないときの対処、すでに合意した返済が続かない場合は任意整理の支払いが止まりそうなときの対応も参考になります。
相談を予約するときは、裁判所の書類があると最初に伝える
弁護士等の相談窓口には、「支払督促か仮執行宣言付か」「送達日」「期限が迫っていること」を最初に伝えます。相談予約を取っただけでは、異議の提出や裁判所への連絡は済みません。依頼する場合は、誰が、いつまでに、どの書類を提出するかを具体的に取り決めましょう。
費用面で相談をためらう場合は、法テラスの無料法律相談の対象になるか問い合わせられます。収入・現金や預貯金の基準があり、家族人数や地域、家賃などの事情で扱いが変わります。平均月収と資産額を伝え、利用条件を案内してもらってください。弁護士等の費用の立替制度は、無料相談とは別に条件と審査があります。
弁護士に相談だけしたいときの準備では、相談と正式な依頼の違いも説明しています。広告先を利用する場合も、公的窓口と同じ制度だとは考えず、費用や契約内容を読んで選びます。
【PR】借金問題を扱う相談先の広告
「後悔しない任意整理するなら!」広告先への相談や依頼による減額・手続の成立は保証されません。相談料と依頼後の費用総額、支払方法、対応範囲の説明を受けてください。督促異議の提出、訴訟への対応、執行停止の申立てのうち何を依頼するか、いつまでに対応できるかも尋ねます。
支払督促を受け取った後によくある疑問
家族が受け取ったので、自分が読んだ日から数えてよいですか?
自分が読んだ日からとは限りません。法律上の条件を満たす同居者などに交付された時点で、送達が成立することがあります。家族が受け取った日と経緯を担当係へ伝え、送達日を尋ねてください。
支払済みの請求や、まったく心当たりのない請求も対応しますか?
本物の裁判所の手続であれば、その内容に不服があるとして対応します。支払済みなら振込記録や領収書、心当たりがないなら請求原因の記載を相談先へ示してください。債権者へ事情を伝えただけで、裁判所への異議申立ての代わりにはなりません。
異議を出すと、借金が増えたり刑事事件になったりしますか?
督促異議によって通常の民事訴訟へ移ること自体は、犯罪として処罰される手続ではありません。ただし、異議を出しても利息・遅延損害金や訴訟費用の問題がなくなるわけではありません。請求の内訳と、どの費用を誰が負担するかを含めて相談してください。
今日することは、書類名と送達日を伝えて提出に着手すること
手元の書類が最初の支払督促か、仮執行宣言付かを読み、事件番号と送達日を控えてください。そのうえで、担当係へ提出先・方法・末日を尋ね、請求に不服がある場合の異議申立てを進めます。
仮執行宣言付なら、異議だけで強制執行が止まると考えず、執行停止も弁護士へ相談します。期限を過ぎたと思う場合も書類を持ったまま連絡し、現在の段階に応じた対応につなげてください。
参照した法律・公的機関の資料
- e-Gov:民事訴訟法(95条・97条・106条・386条・390〜396条・403条)
- e-Gov:民法(140〜143条)
- 裁判所:支払督促の概要と手続の流れ
- 裁判所:簡易裁判所の民事事件Q&A
- 裁判所:民事事件Q&A
- 裁判所:督促手続オンラインシステムのQ&A
参照日:2026年10月4日。日付の例は通常の送達と期間計算を説明するためのものです。個別の送達日・提出方法・手続の進行状況は、届いた書類と事件を扱う裁判所で照合してください。

