任意整理を依頼すると、借入先からの督促や取立てへの対応を弁護士・司法書士に任せられる場合があります。ただし、依頼した瞬間に、すべての連絡や手続が止まるわけではありません。
依頼先が受任し、債権者へ受任通知を送り、その通知が相手方に届くまでには一定の時間がかかります。貸金業者からの借入れについては、書面による通知を受けた後の本人への弁済要求に規制がありますが、保証人、担保、裁判所書類は別に確認が必要です。
結論:任意整理の督促は、受任通知が債権者に届いた後に変化する
任意整理を相談・依頼しただけでは、債権者が直ちに依頼の事実を知るわけではありません。一般には、依頼先が受任後、任意整理の対象として確認した債権者へ受任通知を送ります。
貸金業法第21条では、貸金業者または取立てを委託された者が、債務者が弁護士・司法書士等へ債務処理を委託した旨の書面による通知を受けた後、正当な理由なく本人に電話・電報・ファクシミリ・訪問で弁済を要求する行為を規制しています。この規定は、主に貸金業者の貸付けに関するものです。
したがって、「依頼から何日で必ず督促が止まる」と一律にはいえません。委任契約後は、受任通知の送付予定日、送付先、相手方への到達状況を依頼先へ確認しましょう。
受任通知とは、債務整理の窓口が専門家になったことを伝える書面
受任通知は、弁護士または司法書士が債務整理を受任したことを債権者へ知らせる書面です。通知後は、債権額や取引内容に関する資料を確認し、返済条件について交渉できるかを検討する流れになります。
通知を送る対象は、依頼先と確認した債権者です。借入先の漏れがあると、その相手方には受任通知が届かないため、手元の郵便物やメールをできる範囲で依頼先へ渡してください。
受任通知が届くまでに確認したいこと

依頼後から受任通知が債権者へ届くまでの対応は、債務の内容や依頼先の案内によって異なります。返済や電話への対応を自己判断で変える前に、まず依頼先からの案内を確認してください。
とくに、対象にする契約、返済日、保証人や担保の有無、裁判所書類の有無は早めに共有したい情報です。次の項目を手元の資料と照らし合わせて確認しましょう。
- 任意整理の対象にする借入先と、対象外にする予定の契約
- 次回返済日、口座振替日、利用中のクレジットカードやローン
- 保証人、保証会社、担保、自動車ローン、住宅ローンの有無
- 訴状、支払督促、差押えに関する書類など、裁判所からの郵便物の有無
返済日が近くても、返済資金を作るために追加借入れを急ぐことは避けましょう。収入、生活費、借入れ全体の状況を伝え、当面の返済をどう扱うか依頼先へ確認することが重要です。
返済を一時停止する場合は、対象債権と引落し口座を確認する
任意整理の手続中に返済をどう扱うかは、対象にする債権、契約内容、依頼先の方針によって異なります。「依頼したから支払わなくてよい」と判断せず、いつの支払いから、どの債権者への返済をどうするのか確認してください。
口座振替で返済している場合は、引落し口座と予定日も共有しましょう。給与の受取口座や生活費の引落しとの関係も含め、必要な対応を依頼先へ確認することが必要です。
連絡が来た場合は、内容を記録して受任先へ共有する
受任通知の送付後に連絡があった場合は、依頼先の名称と連絡先を伝えたうえで、送付先や到達状況を依頼先へ確認しましょう。その場で支払いを約束したり、新たな条件に同意したりする前に、受任先へ相談することが大切です。
電話番号、連絡日時、相手方の会社名・担当者名、話した内容をメモして共有してください。送付先違い、債権譲渡、対象債権の漏れなどを確認する手掛かりになります。
受任通知で本人への取立てが一律に止まるわけではない場面

受任通知は重要な書面ですが、すべての請求や法的手続を停止させるものではありません。債権者の種類、誰が債務を負っているか、任意整理の対象かどうか、裁判手続の進行状況によって対応は異なります。
保証人には請求が及ぶ可能性がある
本人が任意整理を依頼して受任通知が送られても、保証人がいる契約では、保証人への請求まで同じように扱われるとは限りません。保証人や保証会社が付いている契約は、相談時に必ず伝えてください。
保証人がいる借入れを任意整理の対象にするかは、本人だけで決めないことが重要です。保証人への影響を依頼先から説明してもらったうえで判断しましょう。
保証人への影響を先に確認したい場合は、任意整理すると保証人はどうなる?請求への影響と相談前の確認点を解説も参考にしてください。
担保のあるローンは、契約ごとの影響を確認する
自動車や住宅などに関するローン、担保が設定されている契約は、任意整理の対象に含めるかどうかで生活への影響が変わることがあります。受任通知が送られることだけを前提にせず、契約書と返済状況を依頼先へ示して確認してください。
裁判所からの書類は、受任通知後も期限どおりに確認する
訴状、支払督促、差押えに関する書類など、裁判所名が記載された郵便物には期限が設けられていることがあります。任意整理を依頼した後でも放置せず、封筒を含めて届いた当日に受任先へ共有し、必要な対応を確認してください。
差押えに関する書類が届いた場合の確認点は、借金で給料や預金を差し押さえられる?流れと届いた書類への対処法で整理しています。
任意整理の依頼前・依頼時に伝える情報
督促への対応を急ぐ場合でも、借入先の情報が不足すると、受任通知の送付先を特定しにくくなることがあります。すべてを完璧にそろえられなくても、手元にある情報をまとめて伝えましょう。
契約先や請求内容が分かる資料のほか、家計、保証人、裁判所書類に関する情報も確認材料になります。相談前または依頼時には、次の資料を可能な範囲で用意してください。
- 債権者名、カード名、契約番号が分かる書類
- 督促状、請求書、SMS、メール、留守番電話の内容
- 毎月の収入、家賃・光熱費などの生活費、返済額が分かる資料
- 保証人・担保・裁判所からの書類に関する情報
借入先の名称が分からない場合は、利用明細、請求書、メール、通帳の引落し記録などを確認してください。見覚えのない請求がある場合も、支払いを約束する前に届いた書面を依頼先へ見せましょう。
相談で確認できる内容や準備物は、借金は弁護士に相談だけでもよい?相談で分かることと準備するものを参照してください。
法律相談と家計の立て直しは、役割を分けて並行して考える
督促、契約、裁判所書類への対応は、弁護士・司法書士などへ相談する領域です。一方、今後の生活費や返済原資の見通しを整理することは、家計の状況を確認する作業といえます。
どちらか一方だけで抱え込まず、必要に応じて並行して整理しましょう。経済的な事情により法律相談や依頼費用に不安がある場合には、法テラスの民事法律扶助制度について確認する方法もあります。
無料法律相談や費用立替の利用には条件・審査があるため、利用できるかは窓口で確認してください。
依頼先を決める前に、対応範囲と連絡方法を確認する
任意整理を検討するときは、費用だけでなく、どの債権を対象にする予定か、受任通知をいつ送る見込みか、裁判所の書類がある場合にどう連絡するかを確認しましょう。依頼後の連絡窓口や必要書類の提出方法も、契約前に把握しておくとよいでしょう。
弁護士と司法書士のどちらへ相談するか迷う場合は、個別の債務内容や希望する手続に応じて、対応できる範囲を確認する必要があります。不明な点が残る場合は、契約前に質問し、説明内容を確認してください。
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「無料相談で現状を整理する」広告先への相談・依頼によって、債務整理の成立、返済額の減額、または特定の結果が得られることを示すものではありません。契約前に、説明を受けた内容、費用、支払い方法、対応範囲を確認してください。
相談・契約の可否、手続の選択、費用、督促や請求への対応は、借入状況や依頼内容によって異なります。広告掲載は解決・減額・受任・融資その他の結果を保証するものではありません。
相談先の選び方は、債務整理のおすすめ事務所はどこ?失敗しない選び方と比較ポイントを解説で確認できます。
また、自分で進める場合との違いは、任意整理は自分でできる?手続きの流れと専門家へ相談する判断基準も参考になります。
任意整理で督促が止まるまでのよくある質問
依頼した当日に督促は止まりますか?
依頼した当日に止まるとは限りません。依頼先が受任し、債権者へ受任通知を送り、相手方に届く流れになるためです。
送付予定日と、連絡が続いた場合の対応を依頼先へ確認してください。
受任通知の後に電話が来たら、支払いを約束してよいですか?
その場で支払いを約束したり、条件変更に同意したりする前に、受任先へ連絡してください。相手方の会社名、担当者名、連絡日時、内容を記録します。
受任通知が届いているかも含めて、依頼先へ確認を依頼しましょう。
裁判所から書類が届いた場合も放置してよいですか?
放置しないでください。裁判所の書類には対応期限が記載されている場合があります。
任意整理を依頼した後でも、封筒を含めてすぐ受任先へ共有し、必要な対応を確認しましょう。
まとめ:受任通知の送付・到達状況を確認し、例外の書類はすぐ共有する
任意整理で督促が止まる時期は、依頼直後ではなく、受任通知が対象の債権者へ送られ、届く流れと関係します。貸金業者からの借入れでは、債務整理を委託した旨の書面通知を受けた後の本人への弁済要求について、貸金業法による規制があります。
ただし、保証人への請求、担保のある契約、裁判所からの書類は一律には扱えません。借入先の情報と届いた書類を受任先へ共有し、返済の扱いも自己判断しないことが重要です。
参考にした公的機関・公式情報
基準日:2026年8月20日。この記事は一般的な情報を整理したもので、個別の契約内容、債権者の種類、訴訟等の進行状況によって対応は異なります。督促や裁判所からの書類でお困りの場合は、弁護士・司法書士などの専門家へ早めに相談してください。

