借金返済のために借金をすると、その月の返済日を越えられる場合はあっても、借金全体が減るとは限りません。借入先が増えるほど、返済日・返済額・利息の確認が複雑になり、生活費が足りない月には再び借入れが必要になる悪循環に入りやすくなります。
追加借入れを急に止めるだけで当面の生活費や今月の支払いを確保できないときは、放置しないことが重要です。借入先への連絡、家計と債務の一覧化、公的な相談窓口や専門家への相談を並行して進め、追加借入れ以外の方法も含めて立て直し方を整理しましょう。
結論:借金を借金で返す状態は、新たな申込みの前に全体像を整理する
返済のための借入れが続くときは、新しい借入先を探す前に、「どこから、いくら借りていて、いつ、いくら支払うのか」を一枚に集めることが出発点です。今月だけの不足なのか、返済計画そのものが収入と生活費に合っていないのかを分けて考えやすくなります。
まずは借入先・残高・返済日・毎月返済額を確認する
借入先、残高、毎月返済額、返済日、金利、返済方法を一覧にしてください。返済額の合計と、生活費を差し引いた後に返済へ回せる金額を比べると、毎月どの程度不足しているかを確認しやすくなります。
今月の返済が難しいなら、契約先へ先に連絡する
返済日に間に合わない見込みがある場合は、連絡せずに支払いを遅らせるのではなく、契約している借入先へ事情と支払見込みを伝えましょう。個別の取引や返済に関する確認は、契約先の貸金業者へ問い合わせるよう金融庁も案内しています。
家計の不足と借金の返済は、役割の異なる相談先へ並行して相談できる
契約内容や返済予定の確認は借入先、家計・生活の整理は家計相談を扱う窓口、債務整理を含む法的な選択肢の確認は弁護士などの専門家が主な相談先です。一つの相談だけで解決しようとせず、必要に応じて並行して利用することで、生活費と返済の問題を分けて整理できます。
なお、貸金業者から個人が借りる場合には、原則として年収の3分の1を超える新規借入れが制限される総量規制があります。銀行からの借入れや法人名義の借入れはこの総量規制の対象外ですが、借りられるかどうかだけで返済を続けられるかどうかを判断しないようにしましょう。
借金返済のために借金をすると自転車操業になりやすい理由

自転車操業とは、収入や手元資金だけでは返済を続けられず、新たな借入れで既存の返済資金を作る状態を指す一般的な言い方です。追加借入れを返済に充てても、借金の支払先が別の借入先へ移るだけであれば、借金全体は減りにくくなります。
次の表は、返済のための借入れが繰り返される際に起こりやすい流れを整理したものです。
| 段階 | 手元では起きること | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 返済日が近づく | 預金や給与だけでは返済資金が不足する | 生活費まで返済に回していないか |
| 追加で借りる | 一時的に返済資金を用意できる | 借入総額と返済先が増えていないか |
| 翌月以降 | 既存分に新規借入分の返済負担が加わる | 毎月の返済合計が収入に見合うか |
| 繰り返す | 返済日・金利・残高の管理が難しくなる | 相談して返済方法を見直す段階ではないか |
一時的に返済資金を用意できても、翌月以降の返済負担や管理の手間までなくなるわけではありません。次の返済日だけでなく、毎月の収支と借入総額を一覧で確認することが大切です。
一時的に支払えても、借金全体が減るとは限らない
借りたお金を別の借金の返済に充てれば、その月の延滞を避けられることはあります。しかし、新たな借入れにも元本と利息の返済が必要で、収入や支出に変化がなければ、翌月以降の返済原資がさらに不足する可能性があります。
「返済額を払うために借りる」と「生活費をカードや借入れで補う」が同時に起きている場合は、返済の問題と生活費不足の問題が重なった状態です。返済用と生活費用を区別せずに借りると、何にいくら必要なのかを把握しにくくなります。
借入先が増えるほど、返済管理の負担も増える
借入先ごとに返済日、返済方法、残高、利息の条件は異なります。少額の返済を複数続けていると、合計の返済額を把握しにくく、次の返済日だけを乗り切る判断になりがちです。
筆者にも、借入先が約5社、消費者金融だけで300万円超、銀行系・事業用を含めて総額約600万円だった時期があります。返済遅延や自転車操業の経験として述べるものではありませんが、借入れが増える前に全残高を整理して確認する重要性を実感した経験です。
追加借入れを止める前後に行う4つの手順

追加借入れを止めたいと思っても、手元に生活費や今月の支払いに充てる資金がなければ、不安だけで動けなくなることがあります。その場合は申込みを繰り返す前に、支払い先への連絡と資金状況の整理を順番に進めてください。
以下は、返済方法や債務整理の結論を自分だけで決めるための手順ではありません。相談時に状況を正確に伝え、利用できる選択肢を確認するための準備です。
1. 支払いが難しい借入先へ先に連絡する
返済日に間に合わない見込みがあるときは、借入先の問い合わせ窓口へ連絡し、支払えない事情、支払可能な日、現時点で用意できる金額を伝えます。どのような対応になるかは契約内容や個別事情によって異なるため、自己判断で放置しないことが重要です。
電話や案内の内容は、日時、担当窓口、説明された事項をメモに残してください。後で家計や債務の一覧を作る際にも、返済予定を確認する資料になります。
2. 家計と債務を一枚の一覧にする
一覧には、借入先、残高、毎月返済額、返済日、金利、保証人の有無、連絡先を記入します。家計については、給与などの収入と、家賃、食費、通信費、保険料などの支出を分け、返済に充てられる金額を確認しましょう。
資料や支払い予定を確認する際は、次の項目を一緒に記載すると整理しやすくなります。
- 借入先ごとの契約書、利用明細、アプリ画面などを確認する
- 口座の引落予定と、今月・翌月の収入予定を確認する
- 税金、社会保険料、家賃、公共料金など借入れ以外の支払いも記載する
- 新たな申込み、クレジットカードの利用、後払い現金化などで穴埋めしていないか振り返る
一覧にする目的は、特定の支払いを独断で止めることではありません。返済が困難になった背景と不足額を把握し、相談先に正確な情報を渡せる状態に整えることです。
3. 生活費を確保する方法と借金の返済を分けて考える
生活費が不足していると、返済の問題と日々の暮らしの問題が混ざります。住居費、食費、光熱費、通勤費など、生活を維持するために必要な支出を家計表で確認し、返済に回せる金額を過大に見積もらないことが大切です。
金融庁が案内する多重債務の相談窓口では、返済が困難な消費者・事業者に対し、状況や意向に応じて債務整理、家計管理、専門家の紹介などに関する助言・支援が案内されています。借入れを続けるか止めるかだけで抱え込まず、家計の立て直しも含めて相談してください。
4. 書類が届いている場合は放置せず、内容と期限を確認する
督促状、請求書、裁判所からの書類などが届いている場合は、封を開けて差出人、書類名、期限を確認します。返済が苦しいことと、書類への対応を先延ばしにすることは別の問題です。期限がある書類は、早めに相談先へ持参して確認しましょう。
督促や裁判所書類への対応については、状況別に確認できる記事も用意しています。借金を滞納するとどうなる?督促から差押えまでの流れと相談の目安を解説、借金の訴状が届いたらどうする?答弁書・裁判期日・相談の流れを解説もあわせて確認してください。
おまとめローンや新規融資だけで解決と決めつけない
複数の借入れをまとめる方法や、新たな融資を利用する方法が個別の状況でどのように扱われるかは、契約条件、返済総額、返済期間、収支などで異なります。「借入先が一つになれば解決する」「新たに借りられれば立て直せる」とは一概にいえません。
毎月返済額だけでなく、返済総額と返済期間も確認する
新しい契約によって毎月の返済額だけが下がって見えても、返済を終えるまでの支払い全体や返済期間は別に確認する必要があります。生活費を確保したうえで返済を継続できる見込みがあるか、家計・債務一覧を基に確認しましょう。
申込みの前に、相談して選択肢を整理する方法もある
すでに返済のための借入れが必要な状態であれば、新たな申込みの前に、家計と債務の一覧を公的な相談窓口や専門家へ見せる選択肢があります。借入先や返済額が複数あり、債務整理を含めて今後の選択肢を整理したい場合は、法律事務所への相談先として以下も確認できます。
【PR】借金問題について、専門家への相談を検討している方へ
「無料相談で現状を整理する」広告先への相談・依頼によって、債務整理の成立、返済額の減額、または特定の結果が得られることを示すものではありません。契約前に、説明を受けた内容、費用、支払い方法、対応範囲を確認してください。
返済のための借入れが続くときの相談先
相談先は一つに限られず、借入先との契約内容を確認したい場合、家計を整えたい場合、債務整理を含む法的な選択肢を検討したい場合で、相談先の役割は異なるものです。
契約内容・返済予定を確認したいときは借入先へ連絡する
返済予定や契約内容に関する質問は、まず契約している借入先に問い合わせます。日本貸金業協会も、契約内容や返済に関する質問は、直接、契約している貸金業者へ問い合わせるよう案内しています。
連絡する際は、契約書、利用明細、返済予定表、届いた通知を手元にそろえると、確認したい内容を伝えやすくなります。「次回返済日」「請求額」「連絡期限」などに分けて質問しましょう。
家計・生活の立て直しを含めて相談したいとき
日本クレジットカウンセリング協会の多重債務ほっとラインでは、消費者の債務に関する電話相談を受け、内容に応じた助言、相談機関の案内・紹介、面接相談の予約受付を行っており、面接相談では、家計・生活、債務の返済・整理の方法、司法手続に関する内容が案内されています。
日本貸金業協会の貸金業相談・紛争解決センターでも、貸金業に関する相談・苦情処理手続のほか、多重債務の改善や再発防止に向けた生活再建支援カウンセリング、家計管理診断なども案内の対象です。
債務整理を含む法的な選択肢を確認したいとき
返済に回せる金額が継続的に不足する、借入先への連絡や家計整理だけでは見通しを立てにくい場合は、弁護士などの専門家へ早めに相談することが状況整理の糸口になります。利用できる手続や影響は、借入れの内容、財産、収入、保証人の有無などによって異なります。
相談前には、借入先一覧、収入資料、家計のメモ、届いた書類をまとめておくとよいでしょう。準備物や相談時の確認事項は、債務整理の相談では何を聞かれる?準備する資料と当日の流れを解説で詳しく解説しています。
借入れを抑えること自体に不安があるとき
浪費やギャンブルなどが借入れの背景にあり、自分で新たな借入れを抑えることに不安がある場合は、貸付自粛制度について相談窓口で情報を確認する方法があります。家計管理や債務の相談とは役割が異なるため、必要に応じてそれぞれの相談を並行して進めてください。
制度の利用可否や手続は個別に確認しましょう。
借金の自転車操業を止めるために避けたい行動
返済に追われていると、目の前の支払日を越える方法だけを探しやすくなります。しかし、借入れの全体像がわからないまま申込みを重ねたり、通知を放置したりすると、状況を説明すること自体が難しくなります。
返済額や残高を確認しないまま、新たな借入れを申込むこと
新たな借入れを検討する前に、借入総額、毎月返済額、返済日、生活費の不足額を一覧で確認しましょう。借りられるかどうかと、返済を継続できるかどうかは同じではありません。
支払いが難しいのに、借入先や届いた書類を放置すること
支払いが難しい場合は借入先へ連絡し、届いた通知は差出人と期限を確認してください。特に裁判所から届いた書類など、期限が記載されているものは、内容を確認したうえで早めに相談しましょう。
安易な資金調達として現金化や個人間融資を利用すること
後払い(ツケ払い)現金化、個人間融資、先払い買取現金化などについては、金融庁が注意喚起を掲載しています。返済資金を急いで作ろうとするほど判断が難しくなるため、こうした方法に頼る前に、正規の相談窓口や専門家へ状況を伝え、次の行動を整理してください。
借金問題全体の立て直し方は、借金地獄から抜け出す方法とは?人生を立て直すために今すぐ取るべき行動を解説も参考にしてください。すでに返済が難しい場合の初動は、借金がやばいと感じたらどうする?今すぐできる対処法とNG行動を解説で確認できます。
借金返済のために借金をすることに関するFAQ
借金を借金で返すと違法ですか?
借金を借金で返しているという事情だけで、違法かどうかをこの記事で一律に判断することはできません。借入れの方法や契約内容などによって確認すべき点が異なるためです。
ただし、返済のための借入れが繰り返され、返済額と生活費を収入でまかなえない状態なら、借金全体が増えるおそれがあります。貸金業者から個人が借りる場合には原則として総量規制があるため、自分の借入れが規制の対象か、返済を続ける見込みがあるかは、契約先や相談窓口に確認してください。
追加借入れを止めたら今月の返済ができません
返済日より前に、支払いが難しい借入先へ連絡し、現在の状況と支払見込みを伝えてください。そのうえで家計と債務の一覧を作成し、多重債務の相談窓口や弁護士などの専門家に相談する準備を進めます。
生活費まで返済に回している場合は、今月の返済だけでなく、次月以降も同じ不足が続くかを確認する必要があります。追加借入れを続ける以外の方法も含め、個別の状況に応じた助言を受けましょう。
相談するとすぐに債務整理を依頼することになりますか?
相談しただけで、特定の手続を選ぶことになるとは限りません。金融庁が案内する多重債務の相談窓口では、状況や意向に応じて、債務整理、家計管理、専門家の紹介などに関する助言・支援が案内されています。
相談時には、返済を続けたい理由、住居や仕事への不安、保証人の有無、家計の状況を率直に伝えることが大切です。説明を受けたうえで、費用や影響を確認し、納得できる方法を検討してください。
参考にした公的機関・公式情報
- 金融庁|貸金業法のキホン
- 金融庁|多重債務者相談強化キャンペーン2025における相談会の開催状況及び予定等について
- 公益財団法人 日本クレジットカウンセリング協会|多重債務ほっとライン
- 日本貸金業協会|貸金業相談・紛争解決センターについて
基準日:2026年8月21日。借入れ、返済、債務整理に関する判断は、契約内容、収入、資産、家計、保証人の有無などで異なります。本記事は一般的な情報であり、個別の結論を示すものではありません。返済が難しいと感じたら、借入先、公的な相談窓口、弁護士などの専門家へ早めに相談してください。

