債務整理を考えると、「今の賃貸住宅に住み続けられるのか」「新しく部屋を借りる際の審査に影響するのか」と不安になるかもしれません。
結論として、債務整理をしたという事情だけで、現在の賃貸借契約が自動的に終了するとは一概にいえません。ただし、家賃の滞納、クレジットカードによる家賃決済、家賃債務保証の利用状況があるときは、それぞれ確認が必要です。
新しい部屋の入居審査も、物件、貸主、管理会社、保証会社、契約内容によって異なります。「債務整理をしたら必ず借りられない」と決めつけず、現在の契約と新規申込みを分けて整理しましょう。
債務整理をしても現在の賃貸住宅に住み続けられるか
現在住んでいる部屋については、債務整理の事実だけで判断せず、家賃の支払状況と契約内容を確認することが出発点です。賃貸借契約書、家賃債務保証の保証委託契約書、家賃の支払方法が分かる書類を手元にそろえましょう。
国土交通省の賃貸住宅標準契約書には、賃料・共益費の支払いや契約解除に関する条項が置かれています。ただし標準契約書は一般的な書式であるため、実際に適用される条項や特約は手元の契約書で確認してください。
債務整理の対象に家賃関係の債務があるかを確認する
まず、債務整理の対象に家賃の未払い、管理会社への未払金、保証会社が立て替えた後の請求などが含まれていないかを確認します。借入先だけでなく、届いている請求書や督促状も含めて相談先の弁護士等へ伝えることが重要です。
債務整理の方針と、賃貸借契約上の対応は同じ問題ではありません。現在の住まいを維持したい場合は、家賃の支払状況と今後の支払方法を先に整理しましょう。
家賃を滞納していない場合
家賃を期日どおりに支払えている場合は、債務整理を検討していることだけを理由に、支払いを止めたり管理会社等からの連絡を避けたりしないことが大切です。更新条件、特約、保証に関する定めも確認しておきましょう。
返済負担により家賃の確保が難しくなりそうなときは、支払期日前に家計を見直し、必要に応じて支払方法の変更手続を確認するようにしてください。毎月の家賃を支払える見込みを具体的に把握しておく必要があります。
家賃を滞納している場合
家賃の滞納がある場合は、債務整理とは別に賃貸借契約上の問題として早めの対応を要します。国土交通省の賃貸住宅標準契約書では、賃料・共益費などの義務違反について、相当期間を定めて履行を催告しても履行されないときに契約を解除できる定めが置かれています。
もっとも、これは標準契約書の定めであり、すべての契約に一律に当てはまるものではありません。滞納があるから直ちに退去になる、または債務整理をすれば滞納の問題が自動的に解決する、と考えることは避けましょう。
督促状や通知書が届いている場合は放置せず、契約書類と一緒に弁護士等へ相談してください。
家賃をクレジットカードで支払っている場合
家賃をクレジットカードで支払っている場合は、カード契約と賃貸借契約を分けて考える必要があります。債務整理の対象とするカードは利用状況が変わる可能性があるため、家賃の決済を継続できるか、カード会社・管理会社の案内と契約内容で確認してください。
カード決済を継続できない可能性があるなら、口座振替や振込みなどの代替手段を事前に確認します。切替えに時間を要する場合もあるため、支払期日が近いときほど早めに確認することが必要です。
クレジットカードへの影響を先に整理したい方は、任意整理するとクレジットカードはどうなる?利用停止と再申込みの注意点を解説も確認してください。
新しく賃貸住宅を借りるときは入居審査と保証会社を分けて考える

債務整理後に新居を探す場合も、「債務整理をしたら賃貸審査に通らない」と一律にはいえません。貸主、管理会社、保証会社などが関わることがあり、申込み先や契約内容によって確認事項は異なるためです。
保証会社ごとの審査基準は一般化できない
保証会社の利用が必要な物件では、賃貸借契約とは別に保証委託契約の申込みを求められることがあります。どのような情報を用いるか、どのような基準で判断するか、債務整理後の申込みをどう扱うかは、会社ごと・契約ごとに異なります。
そのため、「この保証会社なら必ず通る」「任意整理なら審査に影響しない」といった情報を一般化することはできません。申込み前に不動産会社へ、保証会社の利用が必須か、連帯保証人を求める契約形態があるか、必要書類や家賃の支払方法は何かを確認しましょう。
CICは賃貸住宅の入居可否を決める機関ではない
CICは、クレジットカード、割賦販売、各種ローンなどに関する契約内容や支払状況等の信用情報を扱う指定信用情報機関です。CICの公式情報では、加盟するクレジット会社等が、申込みや利用途上の審査のため、同意に基づいて信用情報を確認する仕組みが説明されています。
一方で、CIC自体が賃貸住宅の入居可否を決める機関ではありません。保証会社等がCICを利用するか、利用する場合にどのように判断するかは申込み先・契約先によるため、CICの情報だけから賃貸の審査結果を予測することはできません。
申込み前に確認したい相手と事項
新居探しでは、審査結果を断定しようとするより、関係者ごとの確認事項を切り分けることが現実的です。主な確認先と内容を以下に整理します。
| 確認する相手 | 主に確認したいこと |
|---|---|
| 不動産会社・管理会社 | 保証会社の利用が必須か、申込み時の必要書類、家賃の支払方法 |
| 保証会社 | 保証委託契約の内容、申込みに必要な同意・書類 |
| カード会社 | 家賃のカード決済を利用中の場合の支払方法の変更手続 |
| 弁護士等 | 債務整理の対象債務、家賃滞納や保証会社からの請求がある場合の整理方法 |
申込み書類には事実と異なる内容を記載せず、必要書類と支払計画を整えたうえで進めてください。
家賃債務保証を利用しているときの確認点
家賃債務保証は、借主が賃料等を支払えない場合に備える仕組みです。賃貸借契約とは別に保証委託契約が結ばれていることがあるため、賃貸借契約書だけでなく、保証委託契約書や届いている請求書も確認対象になります。
賃貸借契約書と保証委託契約書を別々に確認する
賃貸借契約書では、貸主・管理会社、賃料、共益費、支払期日、支払方法、特約を確認します。保証委託契約書では、保証会社名、保証の範囲、保証料、連絡先、保証に関する条件を確認しましょう。
国土交通省の家賃債務保証業者型の標準契約書にも、保証会社を利用する場合の記載欄が設けられています。ただし、標準契約書は個別契約そのものではないため、実際の契約書の記載を優先してください。
滞納時の立替えや請求の有無を把握する
家賃滞納がある場合は、保証会社による立替えが行われているか、その後の請求が誰から届いているかを個別に把握する必要があります。貸主・管理会社・保証会社から届いた書類を混同せず、書類ごとに差出人、請求内容、支払期限を整理してください。
保証委託契約の条項に不明な点がある場合は、自己判断で放置せず、契約書を持参して弁護士等に確認しましょう。
登録制度は保証会社選びの一資料にとどめる
国土交通省には、一定の要件を満たす家賃債務保証業者を登録・公表する制度があります。この登録制度は任意であり、登録していなくても家賃債務保証業を営むことは可能です。
利用中または利用予定の保証会社が登録業者かを確認することは、一つの参考になります。ただし、登録の有無だけで契約上の取扱い、審査基準、入居可否を判断することはできません。
債務整理と賃貸住宅で優先したい行動

賃貸住宅への不安があると、借金だけを急いで整理しようとして、家賃の支払いや契約確認が後回しになることがあります。住まいを維持するためには、家賃の現状と今後の支払方法を把握したうえで、債務整理の方針を検討することが重要です。
最初に家計と契約書類を整理する
家賃、光熱費、通信費、食費、借金の返済額を月単位で並べ、家賃を期日どおりに払える見込みを確認しましょう。家賃滞納や保証会社からの請求があるときは、相談時に漏れなく伝える必要があります。
相談前には、次の書類や情報をまとめておくと状況を説明しやすくなります。
- 賃貸借契約書に記載された貸主・管理会社・契約期間
- 保証委託契約書に記載された保証会社名、保証の範囲、連絡先
- 毎月の家賃、共益費、駐車場代などの支払額と支払期日
- 家賃の滞納額、届いている督促状・請求書・通知書
- 口座振替、振込み、クレジットカードなど現在の支払方法
- 借入先一覧、返済予定表、収入と生活費が分かる資料
相談前に準備するものは、債務整理の相談では何を聞かれる?準備する資料と当日の流れを解説も参考にしてください。
通知や請求を放置しない
家賃、保証料、立替払い後の請求などについて連絡や書類が届いているときは、内容と期限を確認してください。支払えない事情があっても放置すると、状況の把握が難しくなり、対応を検討する時間が限られるおそれがあります。
裁判所から訴状や支払督促が届いた場合は、賃貸に関する問題か借金に関する問題かを問わず、記載された期限を確認して早めに相談しましょう。借金の書類への対応は、借金の訴状が届いたらどうする?答弁書・裁判期日・相談の流れを解説および支払督促が届いたらどうする?異議申立ての期限と放置するリスクを解説で解説しています。
借金の相談と住まいに関する相談を並行する
債務整理については弁護士・司法書士に相談し、賃貸借契約の具体的な連絡先や支払方法は管理会社・保証会社に確認するなど、相談先の役割を分けることが大切です。家計管理や生活費の確保にも課題がある場合は、利用できる公的な生活相談窓口があるかを自治体等に確認する方法もあります。
管理会社や保証会社に何をどの時点で伝えるべきかは、家賃滞納の有無や契約内容によって異なります。連絡前に不安があるときは、契約書や届いた書類を持って専門家へ相談することを検討してください。
債務整理の相談先と費用が不安な場合の選択肢
家賃滞納や保証会社からの請求があり、借金返済との両立が難しいと感じる場合は、弁護士等への相談が状況整理の糸口になることがあります。賃貸借契約と債務整理の対象債務を確認し、家賃を含む生活費の状況を踏まえた対応の検討が必要です。
法テラスの民事法律扶助制度を確認する
経済的な事情がある方は、法テラスの民事法律扶助制度を利用できる場合があります。法テラスでは、経済的に困っている方を対象に、弁護士・司法書士との無料法律相談や費用の立替えを案内しています。
費用の立替えには、収入や資産が一定の基準以下であることなどの条件があり、審査も必要です。利用できるかどうかや手続の詳細は、法テラスへ確認してください。
法律事務所へ相談する場合は契約前の説明を確認する
家賃や生活費を含めた返済の見通しを整理したい場合は、債務整理の相談先を比較したうえで、法律事務所への相談を検討する方法があります。
【PR】借金問題について、専門家への相談を検討している方へ
「無料相談で現状を整理する」広告先への相談・依頼によって、債務整理の成立、返済額の減額、または特定の結果が得られることを示すものではありません。契約前に、説明を受けた内容、費用、支払い方法、対応範囲を確認してください。
相談の受付可否、費用、依頼できる内容、手続の見通しは個別の事情で異なります。広告掲載は相談・契約・減額その他の結果を保証するものではありません。
任意整理の選択肢や依頼先の考え方を知りたい方は、債務整理は弁護士と司法書士のどちらに相談する?対応範囲と選び方を解説もあわせて確認しましょう。
債務整理と賃貸住宅に関するよくある質問
任意整理をすると、賃貸のことで家族に知られますか?
任意整理をしたことが、賃貸住宅に住んでいる家族へ自動的に伝わるとは一概にいえません。ただし、家賃滞納がある、家賃の支払方法を変更する、郵便物や電話連絡があるといった事情では、家族に説明が必要になる場面があります。
誰にどの書類が届く可能性があるかは、契約名義、債務整理の対象、登録した連絡先などによって異なります。事前に整理したい方は、任意整理は家族にバレる?知られる場面と相談前にできる対策を解説を確認してください。
自己破産後にアパートを借りることはできますか?
自己破産後の新規入居についても、物件、貸主、管理会社、保証会社の判断を一律には予測できません。保証会社の利用が必要か、申込み時にどのような書類・同意が求められるかを不動産会社に確認したうえで進めることが大切です。
信用情報の取扱いは、カードやローンの申込みを考える場合にも関わります。自己破産後の信用情報については、自己破産後はいつクレジットカードやローンを使える?信用情報の登録期間と確認方法も参考にしてください。
任意整理後にローンを組めるか不安です
任意整理後にローンを組めるかは、申込み先が行う個別の審査によります。CICを含む信用情報機関は信用情報を扱う機関であり、融資や契約の可否を判断するのは申込み先です。
住み替えとローンの申込みが重なりそうな場合は、申込みを急ぐ前に家計と必要性を整理しましょう。詳しくは、任意整理後にローンは組める?信用情報の確認方法と申込み時期を解説をご覧ください。
まとめ:債務整理と賃貸は家賃・契約・保証を分けて確認する
債務整理を検討していても、現在の賃貸借契約、新規入居の申込み、家賃滞納、カード決済、保証会社の問題は同じではありません。現在の住まいについては、債務整理だけで契約が自動的に終了すると決めつけず、家賃の支払いを維持できるか、賃貸借契約書と保証委託契約書にどのような定めがあるかを確認することが出発点です。
新しく部屋を借りる場合は、保証会社や管理会社の判断を一般化せず、必要書類、保証の条件、支払方法を確認しましょう。家賃の滞納や生活費不足があるときは、契約書類と収支を整理して、専門家への相談を検討してください。
参考にした公的機関・公式情報
- 国土交通省|家賃債務保証業者登録制度
- 国土交通省|民法改正等を踏まえ「賃貸住宅標準契約書」等を改定しました
- 国土交通省|賃貸住宅標準契約書(家賃債務保証業者型)
- CIC|信用情報 早わかり!
- CIC|CICが保有する信用情報
- 法テラス|無料法律相談・弁護士等費用の立替
基準日:2026年8月20日。本記事は一般的な情報であり、賃貸借契約・保証委託契約・債務整理の扱いは、契約内容や家賃滞納の状況などにより異なります。通知書や請求書が届いている場合、または家賃と生活費の確保が難しい場合は、契約書類を準備して弁護士等の専門家へ相談してください。

