任意整理の費用に、全国の法律事務所・司法書士事務所で共通する一律の相場はありません。依頼先の料金体系、整理する債権者数、事件の内容、費用が発生する条件などによって総額が変わるためです。
費用を比較するときは、広告などにある「1社あたり」の金額だけで判断せず、相談料・着手金・実費・報酬を合計した金額を確認しましょう。支払時期や分割払いの条件も含め、見積書で確認することが大切です。
また、専門家費用を支払っている間の負担と、和解後に債権者へ返済する見込みを合わせて考える必要があります。本記事では、法テラスの公式情報を踏まえ、相談前に確認したい費用の考え方を整理するものです。
任意整理の費用相場は一律ではない|総額を見積書で確認する
任意整理では、債権者数によって費用が変わる料金体系があります。実費や報酬の扱い、追加費用が発生する条件も依頼先によって異なるため、着手金の安さだけで最終的な負担を比較することはできません。
相談時には、対象とする債権者名と社数を伝えたうえで、依頼時から終了時までに想定される費用総額を確認してください。口頭の説明だけで終わらせず、見積書や委任契約書で費目・金額・支払条件を確認しましょう。
法テラスの費用目安は、民事法律扶助の立替制度における目安
法テラスは、任意整理事件について、債権者数に応じた依頼時費用(着手金・実費)の目安を公開しています。法テラスの案内では、任意整理事件は原則として報酬金が発生しない一方、過払金を回収できた場合には報酬金が発生するとされています。
以下は、法テラスの民事法律扶助における依頼時費用の目安です。実際の費用は事件内容などを踏まえた審査で決まり、事件の困難度などに応じて着手金が増減する場合があります。
民間の事務所を含む全体の費用相場として読むものではありません。
| 債権者数 | 着手金 | 実費 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 1社 | 33,000円 | 10,000円 | 43,000円 |
| 2社 | 49,500円 | 15,000円 | 64,500円 |
| 3社 | 66,000円 | 20,000円 | 86,000円 |
| 4社 | 88,000円 | 20,000円 | 108,000円 |
| 5社 | 110,000円 | 25,000円 | 135,000円 |
| 6~10社 | 154,000円 | 25,000円 | 179,000円 |
| 11~20社 | 176,000円 | 30,000円 | 206,000円 |
| 21社以上 | 198,000円 | 35,000円 | 233,000円 |
表の金額は、法テラスの立替制度を利用する場合の目安です。相談先ごとの料金と比較する際は、同じ債権者数を前提に、費目と支払条件をそろえて確認してください。
比較では「1社あたり」ではなく、対象社数を含めた総額を見る
任意整理の費用を比較する際は、整理の対象にする債権者が何社か、各社分の費用がどのように計算されるかを確認しましょう。見積額に含まれる実費の範囲や、報酬が発生する条件まで確認し、総額で比べる必要があります。
説明を受けるときは、「この見積額以外に発生し得る費用はあるか」「対象の債権者数が変わった場合はどうなるか」も質問しておくと安心です。契約後の認識違いを減らすためにも、回答は書面で確認しましょう。
任意整理で確認したい費用の内訳
見積書では合計額だけでなく、各費目の金額と発生条件を確認しましょう。同じ名称の費用でも、請求される時期や税込み・税抜きの表示、手続きが予定どおり進まなかった場合の扱いは、依頼先との契約内容によって異なります。
相談料・着手金・実費・報酬の条件を分けて確認する
相談料は依頼前の法律相談にかかる費用で、着手金は依頼時の費用として設定されることがあるものです。実費は手続きに必要となる費用であり、法テラスの任意整理事件の費用目安では、着手金と実費が依頼時費用として示されています。
確認したい主な項目は、次のとおりです。
- 相談料:相談時に費用がかかるか、相談時間や契約しない場合の扱い
- 着手金:依頼時に必要な金額、債権者数による増減の有無、支払時期
- 実費:見積額に含まれる費用の範囲、追加で発生する条件
- 報酬:発生する条件、計算方法、過払金がある場合の取扱い
- 消費税:見積額が税込みか税抜きか
費用名称だけでは負担を比較できません。費目ごとの金額に加え、いつ支払うか、どのような場合に追加費用や報酬が発生するかを一組で確認してください。
任意整理の費用を分割で支払いたいときの確認点

費用を一括で準備できない場合は、依頼先に分割払いの可否、毎月の支払額、支払開始時期、支払いが遅れた場合の取扱いを確認しましょう。分割払いに対応するか、回数や条件をどう定めるかは依頼先との契約によるため、一般化はできません。
専門家費用と和解後の返済、生活費をまとめて確認する
分割払いを検討するときは、専門家費用の月額だけで判断しないことが大切です。任意整理で和解した後には債権者への返済が続くため、家賃、食費、光熱費などの生活費を差し引いた後に、費用の分割払いと返済を続けられる見込みがあるかを確認しましょう。
返済や費用のために新たな借入れを重ねると、状況がさらに複雑になるおそれがあります。支払いが難しいと感じた段階で、借入れ・家計・費用をまとめて伝え、現実的な支払い計画になるか相談してください。
法テラスの立替制度は、条件と審査を確認する
法テラスの民事法律扶助には、弁護士・司法書士に依頼する際の着手金・実費などを立て替え、利用者が法テラスへ分割で返済する制度があります。利用には、収入や資産が一定基準以下であることなどの条件があり、審査が必要です。
審査では、援助開始の可否のほか、着手金・実費の金額、立替金の支払方法や月額が決定されます。利用できるかどうかや個別の支払条件は事情によって異なるため、公式情報と相談先で確認してください。
任意整理を含む債務整理について、相談先を比較検討したい場合の選択肢の一つです。
【PR】借金問題について、専門家への相談を検討している方へ
「無料相談で現状を整理する」広告先への相談・依頼によって、債務整理の成立、返済額の減額、または特定の結果が得られることを示すものではありません。契約前に、説明を受けた内容、費用、支払い方法、対応範囲を確認してください。
相談、契約、費用の分割、手続きの可否や結果は、借入状況・収支・契約内容などにより異なります。申込み前に、費用総額と支払い条件を個別に確認してください。
見積書で確認する項目

相談時には、口頭の説明だけで終わらせず、費用と条件を見積書や委任契約書で確認しましょう。質問事項を事前にメモしておくと、債権者数、費用、毎月の返済見込みを分けて確認しやすくなります。
主な確認項目を表にまとめました。
| 確認項目 | 見積書・契約書で見る点 |
|---|---|
| 整理の対象 | 対象となる債権者名と社数が合っているか |
| 相談料 | 相談時に費用が必要か、契約しない場合の扱いはどうか |
| 着手金 | 総額、支払時期、債権者数の増減による変更条件 |
| 実費 | 見積額に含まれる範囲と、追加費用が発生する条件 |
| 報酬 | 発生条件、計算方法、過払金がある場合の取扱い |
| 分割払い | 利用可否、毎月額、支払開始時期、遅れた場合の取扱い |
| 返済見込み | 費用の支払いと和解後の返済を合わせた毎月負担 |
表示された着手金だけで判断しにくいのは、実費や報酬、支払時期、債権者数の変更によって総額が変わり得るためです。費用を払えない可能性がある場合も、契約前に伝え、家計を踏まえた支払い計画になるかを確認しましょう。
任意整理の費用を払えないときの相談先と考え方
費用の準備が難しいからといって、相談自体を先延ばしにする必要はありません。法テラスの立替制度の利用条件に当てはまる可能性があるかを確認するほか、借金や家計について相談を受け付ける公的・公益的な窓口へ相談する方法があります。
法律上の手続きの相談と、家計・生活の相談は並行できる
弁護士・司法書士には、任意整理を含む手続きの見通し、依頼費用、返済計画について相談が可能です。一方、日本クレジットカウンセリング協会の多重債務ほっとラインは、消費者の債務に関する相談に応じ、内容に応じて助言や相談機関の案内・紹介を行うとしています。
同協会のカウンセリングでは、家計・生活、債務の返済・整理の方法、司法手続きに関することなどが扱われています。現在の借入状況と収支を共有しながら、費用と返済の両面を確認しましょう。
費用が用意できないときの選択肢をさらに確認したい方は、債務整理の費用が払えないときは?お金がなくても相談できる方法を解説も参考にしてください。
相談前に準備すると費用の見通しを確認しやすいもの
相談前に、借入先、残高、毎月返済額、収入、固定費を一覧にすると、費用と返済の両方について具体的に質問しやすくなります。数字が正確に分からない項目があっても、分かる範囲で資料を準備しましょう。
準備できる資料の例は、次のとおりです。
- 借入先ごとの名称、残高、毎月返済額、返済日
- 督促状、請求書、契約内容が分かる書類
- 給与明細、源泉徴収票など収入が分かる資料
- 家賃、通信費、保険料など毎月の固定費
- 預貯金や家族構成など、相談時に確認を求められそうな情報
法テラスの立替制度を申し込む場合、援助申込書や事件調書、資力申告書、収入を証明する資料、住民票のほか、事件に応じた書類が必要になると案内されています。必要書類は個別に異なるため、事前に確認してください。
手続きの流れや自分で対応する場合との違いは、任意整理は自分でできる?手続きの流れと専門家へ相談する判断基準で確認できます。
任意整理の費用に関するよくある質問
任意整理は相談だけでも費用がかかりますか?
相談料の有無や金額は相談先によって異なるため、予約時に確認が必要です。依頼しない場合も費用がかかるか、相談時間はどの程度かを事前に聞いておくと、想定外の負担を避けやすくなります。
法テラスには、収入や資産などの要件を満たす人を対象とした、弁護士・司法書士による無料法律相談の制度があります。相談だけで確認できることや準備物については、借金は弁護士に相談だけでもよい?相談で分かることと準備するものも参考にしてください。
任意整理の費用はいつ支払いますか?
支払時期は委任契約の内容によって異なります。依頼時に必要な費用、分割払いの可否、実費や報酬が発生する時期を、申込み前に見積書と契約書で確認してください。
法テラスの立替制度を利用する場合は、着手金・実費などを法テラスが立て替え、利用者が分割で返済する仕組みです。ただし、利用には条件と審査があり、費用や支払方法・月額は審査で決定されます。
費用が安ければ任意整理を選んでよいですか?
費用だけで手続きを選ぶのではなく、整理後の返済を続けられる見込みがあるかを含めて確認する必要があります。任意整理が状況に合うかは、債務額、収入、生活費、対象とする債権者などによって異なるものです。
相談時には、費用総額と毎月の支払いに加え、和解後の返済見込みを具体的に確認しましょう。手続きに伴う注意点も把握したい方は、任意整理のデメリットとは?後悔しやすいポイントと向いていない人を解説も確認してください。
任意整理の費用は総額と返済見込みを一緒に確認しよう
任意整理の費用に、全国共通の一律相場はありません。法テラスが公開する費用目安は、民事法律扶助の立替制度における依頼時費用の目安であり、すべての事務所の料金を示すものではありません。
相談前には、相談料・着手金・実費・報酬、支払時期、分割払いの条件を確認し、専門家費用と和解後の返済を合わせた毎月の負担を検討しましょう。費用を準備できない場合も、法テラスや多重債務の相談窓口を含めて、早めに状況を相談することが大切です。
参考にした公的機関・公式情報
基準日:2026年8月19日。費用、利用条件、手続きの選択は、借入状況や家計、依頼先との契約内容によって異なります。個別の判断が必要なため、返済が難しいと感じた段階で、弁護士・司法書士や公的・公益的な相談窓口へ相談してください。

